第10夜「少年と犬 馳星周」

新潮100冊文庫のフェアを味わいつつ、青山ブックセンターを歩き回っておすすめの文庫本新刊コーナーを見つける。おすすめ本の順番が出ているので、何を読もうか決まっていない僕は、しばらく素直に推薦されるまま本を読むことにした。現代はどんな本が話題なのか知りたいという気持ちもあった。「少年と犬」「推し、燃ゆ」「52ヘルツのクジラたち」「持続可能な魂の利用」「首里の馬」「一人称単数」「クララとお日さま」「正欲」等である。

「少年と犬」は直木賞受賞作ということだ。

『傷つき悩み、惑う人々に寄り添っていたのは一匹の犬だった。2011年秋、仙台。震災で職を失い、家族のため犯罪に手を染めた男。偶然拾った犬が男の守り神になった。壊れかけた夫婦は、その犬をそれぞれ別の名前で呼んでいた。人と犬の種を超えた深い絆を描く感涙作。163回直木賞受賞』(文春文庫)

感涙作ということで、ネットでは多くの読者が感動を投稿していた。僕はそこまで感動しなかった。つまり、読み方が違ったんだろうと思った。今どんな作品が話題なのかを知ろうとして読んでいたので、感動しようと読み始めた読者とは距離があったのだろう。

そこまで感動しなかったのが寂しい。

 

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