第35夜「おおつごもり 樋口一葉」

おおつごもりの後味の悪さ。単純に考えれば、盗みがばれなくてよかったよかった。日頃の行いがいいので、クリスマスの奇跡ならぬおおつごもりの奇跡が起こった。と考えるかもしれない。しかし、まじめなお峯にとっては、告白をしなければ一生罪悪感にさいなまされることになる、石之助が、分かったうえでお峯をかばうことにしていたとしても、お峯の心は安らかにならないだろう。

読んでいて、坪内逍遥の「細君」で奉公していた娘が身投げしたことを思い出して、そして、樋口一葉氏の作品が毎度暗い結末に終わっていたので、お峯の死を予感していたが、こういう終わり方もあるんだと感心した。

そして、私は石之助がお峯をかばおうとしていた説の方を取っている。私も「後の事しりたや」である。

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