脚本を手掛けた寺内貫太郎一家の舞台の近くに住んでいたこともあり、気になる作家だった。向田邦子氏が台湾の飛行機事故で亡くなったニュースをよく覚えている。そして子供の頃、親の買った本があり、読んだ記憶がある。
浮気相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんでかわうそのような残忍さで夫を翻弄する人妻。心の内で家族を蔑み続ける、元エリートサラリーマン。やむを得ない事故で子供の指を切ってしまった母親など 日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間のいとしさとしてとらえた13篇。(新潮文庫)
登場人物が中年後の男性が多く、実はさらに年を取った自分にとっては、複雑な気持ちになる。まー痛いところをついてくるなぁという感じ。味のある作家だと思う。