第63夜「恩讐の彼方に」菊池寛

40年以上も前の話。もうほとんど忘れてしまっているのだがフランキー堺が菊池寛の役として出演していた映画を深夜テレビで見たことがある。面白おかしく描かれた作品で僕の中では、読みもしないで作家としての菊池寛の評価はそれほど高いものではなかった。中学の国語の先生が菊池寛の話をされ、彼の功績を黒板に列挙されていて作家というより企業家のイメージが強かったせいもあると思う。ところで、ここ1,2年で「恩を返す話」「忠直卿行状記」と読んで、作家としての偉大さを知った。そしてこの作品は菊池寛の代表作の一つでありタイトルだけ知っていただけに期待して読んだ。テンポよく話が展開し、終わりには思わず涙ぐんでしまう。ああやっぱり菊池寛って偉大だわと思わせる作品。★★★★★

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