久しぶりに面白い本に出合えた。坪内逍遥からの流れで、小説真髄を体現したとされる「浮雲 二葉亭四迷」を読んだ。この作品はいろんな意味で良い方に裏切られる。学生時代に日本文学史に必ず出てくるものだが、多くの学生は「当世書生気質」や「浮雲」は読まないで、夏目漱石や森鴎外等が必読書に挙げられ読んでいるのだろう。もっと早く読んでおけばよかったかもしれないが、今だからこそ楽しめたことは大きい。東京に出てきて三十余年。舞台として出てくる場所にも住んだこともあり、身近に感じた。ともかく斜め上に笑いたいそんな作品で。激しくお勧めする。
最後のシーンでお勢が、編み物をしているが、お鍋が「ほんとに内海・・・」と言ったのは、希望的観測では、内海さんの為に編んでいると思いたかったが、編み物を奥座敷へ投げ入れているので、お勢の気まぐれの一つだろう。「だめだこりゃー」という気持ちである。
★★★★★